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5D石垣島漂着ゴミ回収プロジェクト (1. 背景・きっかけ)
Working Backwards サービス・商品の企画開発
CustomerPerspective
代表取締役
武蔵野大学データサイエンス学部 客員教授
石垣島の漂着ゴミを回収する
2023年11月16日にタイのChiang Maiで開催された、The 5th Symposium on Asia AI-Collective AI: Design & Creationで石垣島の漂着ゴミ回収プロジェクトについて発表する機会を頂きました。発表の内容は、漂着ゴミを回収する行動(Human Activity)を促進する実験的な取組みです。取組みには5D World Map Systemと石垣島の地域通貨まーるを活用しました。
5DWorld Mapは、武蔵野大学データサイエンス学部(MUDS)の清木康学部長が中心となってすすめられているデータベースの取り組み。まーるは、カヤックが提供するまちのコイン上の地域通貨のひとつです。本ブログでは、プロジェクトの背景ときっかけ、内容、結果、そして今後に向けた検討事項を整理します。
石垣島で増え続ける漂着ゴミ
約20年前に石垣島に初めて訪れた時の、海と自然への感動を忘れることはできません。それ以来毎年のように石垣島を訪問し、今では年に数回滞在しています。長年訪れていて気づくのは、海岸に漂着するペットボトルなどのゴミの量です。訪れる度に海岸でゴミを回収していますが、毎年増えているように見えるのです。沖縄県の調査によると、石垣島を含む八重山諸島の海岸漂着物の重量は60日間で約137トン、うちペットボトルが約10トン。
石垣市では漂着ゴミを回収するために、ボランティアに向け、分別のガイドラインや、漂着ゴミ回収専用の袋、軍手などを配布しています。私は市役所で袋をもらい、拾ったゴミは予約をして市に回収してもらっています。
現在回収されたペットボトルは、繊維などを扱う商社が合成繊維にリサイクルしています。再生された合成繊維はメーカーなどが購入し商品を製造します。例えばゴールドウィンは再生した合成繊維でTシャツをつくっています。
5D World Map Systemと漂着ゴミ
2023年の6月にMUDSの清木学部長にお目にかかり、5D World Map Systemの今後についてお話しを伺う機会がありました。5DWorld Map Systemは、環境変化や対応状況に関する情報を蓄積するデータベースをつくり、環境保護を促進する取り組み。環境変化とは、漂着ゴミ(海洋プラスチック)、森林火災などを含んでいます。
その会議でお話したことのひとつが、人間の行動(Human Activities)を喚起することの難しさです。漂着ゴミの回収のためには、多くの人の協力が必要ですが、それがなかなか簡単には行かないのです。人間の行動を喚起する様々な方法についてもご意見交換しました。
マーケティングを通じて人に行動をとってもらう様々な方法について、私は様々な業界のクライアントとの取り組みを通して実践しています。今までの経験から、コミュニティが人の行動に大きく影響することもわかっています。人の行動を喚起する方法には、例えば、インセンティブ、承認、賞賛、健全な競争があります。漂着ゴミの回収にも、このようなマーケティングの手法を活かせるはずです。
解決策のビジョンをWorking Backwardsの手法で描く
では、具体的には何ができるのか。将来の「理想の姿」を描くために私が使ったのは、アマゾンのWorking Backwards(ワーキング・バックワーズ)の手法です。未来日付の仮想のプレスリリースで、理想の未来像を描き、そこからさかのぼって今何をすべきかを考えていく手法。一筋縄にはいかない漂着ゴミ回収の解決策も、この手法を使って描きたいと考えました。私が作成したプレスリリースを次回のブログ投稿で共有します。
関連リンク
5D石垣島漂着ゴミ回収プロジェクト(2. 理想の未来像をWorking Backwardsの手法で描く)
Working Backwards(ワーキング・バックワーズ) – BezosとJobs、Backcastingの思考に見る独自性と共通点
Working Backwards(ワーキング・バックワーズ)日本語版「アマゾンの最強の働き方」(ダイヤモンド社刊)
Working Backwards「アマゾンの最強の働き方 」Diamond Online対談記事